近年、オープンアクセスジャーナルの増加とともに、掲載料を搾取することを目的とした、査読が不十分な論文を掲載する粗悪な学術誌、いわゆるハゲタカジャーナル(predatory journals)が増加し問題になっています。ジャーナル出版社が、直接研究者にメールして論文投稿の勧誘を行うケースもあるようです。
ハゲタカジャーナルに誤って投稿してしまうと、不当な掲載料の請求を受ける、取り下げを確認するまで二重投稿のリスクを抱えるなど、研究活動への大きな支障となります。また、論文が掲載されれば、自身の業績評価を下げ、本学全体の評価を傷つけることにもつながる可能性があります。
島根大学の研究者の皆様には、粗悪な学術雑誌への投稿リスクを十分ご理解の上、論文の投稿先を慎重にご検討くださいますようお願いいたします。
論文の投稿先を検討する際のチェック項目
- あなたや同僚は、そのジャーナルについて知っていますか。
- 所属する学会等で評価されているジャーナルですか。
- そのジャーナルに投稿された論文を、以前読んだことはありますか。
- そのジャーナルでは最新の論文を容易に見つけることができますか。
- Web of Science、PubMed、CiNii、医中誌に収録にされていますか。 - その出版社の連絡先はすぐに分かりますか。
- そのジャーナルのウェブサイトには、出版社名が明記されていますか。
- 出版社とは、電話、メールや郵便で連絡が取れますか。 - そのジャーナルは、どのような査読を行うか明白ですか。
- 指標されている評価指標は一般的なものですか。
- Impact Factor(IF)は、Journal Citation Reports(JCR)に掲載されているものと同じですか。 - 料金設定は明瞭ですか。
- そのジャーナルのサイトには、料金の内容と請求時期について説明されていますか。 - 編集委員会は、設置されていますか。
- 編集委員について、聞いたことがありますか。
- 編集委員は、自身のウェブサイトでそのジャーナルについて言及していますか。 - その出版社は、学術出版業界で広く認められた団体に所属していますか。
- その出版社は、Committee on Publication Ethics(COPE/出版規範委員会)に加盟していますか。
- ジャーナルがオープンアクセスの場合、Directory of Open Access Journals (オープンアクセス誌要覧/DOAJ)に登録されていますか。
- ジャーナルがオープンアクセスの場合、出版社はOpen Access Scholarly Publishers’ Association (オープンアクセス学術出版社協会/ OASPA) に所属していますか。
- ジャーナルは、International Network for the Availability of Scientific Publications(INASP/科学出版物入手のための国際ネットワーク)のオンラインジャーナルプラットフォーム(バングラデシュ、ネパール、スリランカ、中央アメリカ、モンゴルで出版されたジャーナルの場合) またはAfrican Journals Online(AJOL /アフリカで出版された場合)に登録されていますか。
- その出版社は、上記以外の何らかの業界団体に所属していますか。
“Think, Check, Submit”のcheck list(https://thinkchecksubmit.org/check/)をもとに作成。
参考資料
・“Think, Check, Submit”日本語版
・“Think, Check, Submit”英語版
・栗山正光「ハゲタカオープンアクセス出版社への警戒」『情報管理』2015.58(2)p92-99
・David Moher et al. (2017) Stop this waste of people, animals and money, Nature 549, 23-25 (07 September 2017)
・Jeffrey Beall (2016) Essential Information about Predatory Publishers and Journals, INTERNATIONAL HIGHER EDUCATION, Number 86 Summer 2016, pp.2-3.