近年、オープンアクセスジャーナルの増加とともに、掲載料を搾取することを目的とした、査読が不十分な論文を掲載する粗悪な学術誌、いわゆるハゲタカジャーナル(predatory journals)が増加し問題になっています。ジャーナル出版社が、直接研究者にメールして論文投稿の勧誘を行うケースもあるようです。

ハゲタカジャーナルに誤って投稿してしまうと、不当な掲載料の請求を受ける、取り下げを確認するまで二重投稿のリスクを抱えるなど、研究活動への大きな支障となります。また、論文が掲載されれば、自身の業績評価を下げ、本学全体の評価を傷つけることにもつながる可能性があります。

島根大学の研究者の皆様には、粗悪な学術雑誌への投稿リスクを十分ご理解の上、論文の投稿先を慎重にご検討くださいますようお願いいたします。

 

論文の投稿先を検討する際のチェック項目

  1.  あなたや同僚は、そのジャーナルについて知っていますか。
    - 所属する学会等で評価されているジャーナルですか。
    - そのジャーナルに投稿された論文を、以前読んだことはありますか。
    - そのジャーナルでは最新の論文を容易に見つけることができますか。
    - Web of Science、PubMed、CiNii、医中誌に収録にされていますか。
  2. その出版社の連絡先はすぐに分かりますか。
    - そのジャーナルのウェブサイトには、出版社名が明記されていますか。
    - 出版社とは、電話、メールや郵便で連絡が取れますか。
  3. そのジャーナルは、どのような査読を行うか明白ですか。
  4. 指標されている評価指標は一般的なものですか。
    - Impact Factor(IF)は、Journal Citation Reports(JCR)に掲載されているものと同じですか。
  5. 料金設定は明瞭ですか。
    - そのジャーナルのサイトには、料金の内容と請求時期について説明されていますか。
  6.  編集委員会は、設置されていますか。
    - 編集委員について、聞いたことがありますか。
    - 編集委員は、自身のウェブサイトでそのジャーナルについて言及していますか。
  7. その出版社は、学術出版業界で広く認められた団体に所属していますか。
    - その出版社は、Committee on Publication Ethics(COPE/出版規範委員会)に加盟していますか。
    - ジャーナルがオープンアクセスの場合、Directory of Open Access Journals (オープンアクセス誌要覧/DOAJ)に登録されていますか。
    - ジャーナルがオープンアクセスの場合、出版社はOpen Access Scholarly Publishers’ Association (オープンアクセス学術出版社協会/ OASPA) に所属していますか。
    - ジャーナルは、International Network for the Availability of Scientific Publications(INASP/科学出版物入手のための国際ネットワーク)のオンラインジャーナルプラットフォーム(バングラデシュ、ネパール、スリランカ、中央アメリカ、モンゴルで出版されたジャーナルの場合) またはAfrican Journals Online(AJOL /アフリカで出版された場合)に登録されていますか。
    - その出版社は、上記以外の何らかの業界団体に所属していますか。

“Think, Check, Submit”のcheck list(https://thinkchecksubmit.org/check/)をもとに作成。

 

参考資料
・“Think, Check, Submit”日本語版
・“Think, Check, Submit”英語版

・栗山正光「ハゲタカオープンアクセス出版社への警戒」『情報管理』2015.58(2)p92-99

・David Moher et al. (2017) Stop this waste of people, animals and money, Nature 549, 23-25 (07 September 2017)
・Jeffrey Beall (2016) Essential Information about Predatory Publishers and Journals, INTERNATIONAL HIGHER EDUCATION, Number 86 Summer 2016, pp.2-3.